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2024年台風10号に学ぶ新幹線運休時にやるべきこと

2024年8月末に日本列島を襲った台風10号。特徴は速度の遅さと離れた場所でも強い雨が長時間降り続くことでした。

8月28日には静岡県内で強い雨が降り、東海道線がストップ。8月29日には三重県、静岡県の広い範囲で雨が降り、伊勢地方の近鉄やJR、静岡県内のJRや私鉄各線が軒並み運転見合わせとなりました。そして、この日の午前中にJR東海から翌日の新幹線の計画運休が発表されました。これにより、29日中に新幹線で移動しようとした人が多数出たのですが、16時頃に静岡県内の雨量計が基準値を超えて静岡〜小田原が運転見合わせ、そして18:45頃には全線で終日運休が発表されました。9月に入ってからも名古屋〜三島間は終日運休になるなど、正常に戻るのは9月2日まで待たねばなりませんでした。JR東海にとっても、新幹線の利用客にとってもあまりにも大きすぎる被害だったと思います。

これにより、29日夕方以降、名古屋駅や静岡県内の各駅では帰宅難民が多数発生。駅構内には切符の払い戻しや新たな切符を買い求める人で大混乱になりました。そして、翌30日は東海道新幹線全線で運転見合わせとなり、東京〜名古屋〜大阪間を新幹線以外のルートで移動しようとする客で早朝から大混雑です。

私はプライベートで旅行中に29日の昼に伊勢中川駅で、そして夜に名古屋駅から身動きが取れなくなる経験をしました。しかし、私は慌てもせず、混乱に巻き込まれることもなく、窓口に並ぶこともなく、急遽手配したホテルでゆったりと過ごし、翌日には特急列車の指定席で落ち着いて座って帰宅することができたのです。

今回は、29日の夕方から30日の朝にかけて名古屋駅で起こっていたことと、私がなぜ混乱に巻き込まれずに快適にホテルで一夜を過ごし、ホームの入場規制が行われ、指定席が取れず自由席券を持った乗客が指定席の通路まで溢れるくらいの大混乱となった30日午前の特急の指定席を確保できたのか、そして旅行のプロの目線から読者のあなたに同じ事態が起こった際の対処法をお伝えします。

新幹線やJRに限定しなければ、台風などの自然災害や人身事故などによる鉄道の運転見合わせは全国各地で発生しています。この記事を参考にして、トラブルに巻き込まれた際に落ち着いて対応する知識とメンタルを身につけてください。

29日夜の名古屋駅で何が起こっていたのか

11:20頃 翌日の東海道新幹線一部運休が発表

この時点では私は近鉄特急で大和八木→伊勢中川へ移動中だったので、名古屋駅の様子は推測ですが、30日に東海道新幹線で移動しようとしていた客が窓口に並び、当日の29日または31日の列車に振替を行なっていたのではないかと思います。

実際に私も近鉄車内でスマートEXを使って30日の新幹線を払い戻して、29日夕方の新幹線を予約しました。

16:00すぎ 東海道新幹線一部運転見合わせ

静岡県内での雨量計の値が基準値を超えたとのことで、静岡〜三島間が運転見合わせとなります。運転再開の目処は立っていないとのアナウンス。

東海道新幹線の名古屋駅利用者の多くはのぞみ号利用者なので、この区間が止まるということは、ほとんどの人が移動できなくなったことを意味します。この時点では、運転再開を待つ人が大半でした。

代替の交通手段の手配や新幹線で29日中に移動することを諦めてホテルを予約する動きはまだ見られません。

18:45頃 東海道新幹線終日運休が発表

雨が止む見込みが立たないことから、東海道新幹線の終日運休が発表されました。それまでも窓口は混雑していたのですが、さらに混雑に拍車がかかることとなります。

駅の窓口が大混雑

まずは新幹線が運休になったことによって新幹線車内や改札内にいた人々が改札外に吐き出されていきます。もちろん、使用途中の切符を改札機に通してしまうと権利放棄扱いになり、改札機に吸い込まれて戻って来ず、払い戻しなどの手続きができなくなってしまうので、改札機を止めて、駅員が1名ずつ切符を確認して改札を通して行きます。私はホーム下のコンコースを全て埋め尽くすほどの大行列を初めて見ました。

改札外の駅構内はというと、窓口で大行列を作っている人々の他には会社や家族と電話連絡をする人々、困った顔で立ち尽くす人々など様々でした。多くの人々が窓口に殺到していましたが、実は券売機の方はかなり空いていました。

券売機を使ってその日のしなの号の切符を買い、長野経由で北陸新幹線で東京までのチケットを確保した方もいました。この日は中央線の高尾〜甲府が22時30分すぎに雨の影響で運転見合わせになってしまったので、しなの号利用の塩尻を経由してあずさで新宿を目指した方の中には、甲府での宿泊を強いられた方もいたかもしれませんね。

19時すぎにはテレビなどのメディアの姿も見られるようになります。

高速バスの状況

切符の払い戻しや新たな切符を手配しようと窓口に並ぶ人がいる一方で、夜行バスを使って何としても翌朝までに帰ろうとする人々が高速バスのチケット売り場に集まっていました。その結果、あっという間に高速バスは全て満席になりました。しかし、たしか22時をまわった頃でしたでしょうか。東名高速道路の静岡県内の一部が通行止めになってしまったのです。夜行バスで帰ろうとした人々がどのような末路を辿ったのかは定かではありません。

ホテルやコンビニも大混乱

新幹線が止まり、その日のうちに帰宅することを諦めた人々が取る選択肢はやはりホテルの確保です。19時前後には駅周辺のホテルの予約が一気に埋まっていったようです。私がホテルにチェックインした19時すぎ、ホテルのフロントの電話はずっと鳴りっぱなしでした。私のチェックイン時点で満室になっていたようで、予約なしで来た方は残念ながら宿泊を断られてしまっていました。

帰りの手段と寝床を確保した後はやはり食事をしたくなりますよね。ちょうど夕食時だったこともあり、名古屋駅構内や地下街の飲食店はどこも混雑していました。そして、急な宿泊となると、下着や靴下、スキンケア用品も必要になります。そのため、駅近くのユニクロやコンビニがサラリーマンで異常な混雑でした。

30日朝 特急しなのの利用客で大混雑

やはり、一夜で混乱がおさまるわけはありません。翌30日は朝7時前から窓口には行列ができていました。朝になっても帰る手段を確保できていない人が大勢いたのでしょうか。

ただ、窓口よりも混乱していたのは在来線の改札内です。特急しなの号の利用客があまりにも多すぎるためにホームは入場規制が行われ、ホーム下のコンコースで行列を作っています。

名古屋から東京へ行く鉄道のルートは東海道新幹線と東海道線を除くと以下の2つに絞られます。※鉄道ファンがやる大回り乗車などは除き、一般客が早く東京に移動すべく取る選択肢。特急ひだ号を利用して高山から高速バスや富山から北陸新幹線を使うルートもやはり現実的ではない。

①特急しなので長野へ。長野から北陸新幹線を利用
②特急しなので塩尻へ。塩尻から特急あずさ号利用

つまり、東海道新幹線を利用するはずだった人々のほとんどが、1時間に一本しか走っていないしなの号に集中することになるのです。その結果、上記のような入場規制とコンコースでの行列が発生してしまったのです。

自由席の利用客が多すぎて、通常は自由席車両にしか乗れない乗客を指定席車両にも乗せる例外的措置が取られ、指定席車両の座席間の通路にまで立って乗る方がいました。途中駅の千種、多治見などでも乗車するお客様がいるので、デッキは特急電車ながら通勤電車のような状況。さらにスーツケースを持っている乗客がほとんどなので、棚や足元も荷物で埋め尽くされた状態でした。

こんな状況になったしなの号ですが、私も前日の夕方までは全く利用予定がなかったにも関わらず指定席を確保してゆったり移動できたのには運が良かったのもありましたが、それ以外の私の行動にも理由があります。その秘密は後述します。

8月29日から30日の私の体験

当初のスケジュール

当初のスケジュールは以下の通りです。29日はゆったりと近鉄で名古屋へ移動し、栄周辺の街歩きやグルメを楽しみ、30日や犬山城と周辺散策をする予定でした。しかし、ここから2度の変更を余儀なくされました。

29日昼前に翌日の新幹線運休が発表され、一時は29日中に帰宅することと決めましたが、結果的には名古屋で予定通り宿泊し、30日に帰宅する運びとなりました。もちろん犬山城観光は諦めています。このように、30日に帰宅予定だったものを29日に早め、結果帰宅が30日になったというパターンは珍しかったかもしれませんね。

伊勢中川駅で足止め〜名古屋駅まで

29日も30日も、スケジュールがどうなるかわからなかったので、大和八木から伊勢中川までの特急の車中でも近鉄の動きと東海道新幹線の運行状況を常に注視していました。そして、11時20分にJR東海から公式に翌日の名古屋〜三島の新幹線運休が発表されたため、29日中に帰ることにし、スマートEXを使ってすぐに新幹線を手配しました。

しかし、伊勢中川駅到着前に近鉄名古屋線の伊勢中川から白塚間運転見合わせとの情報が。ちなみにJRも止まっています。なんとか津駅まで行けば伊勢鉄道が動いているようだったので、それに賭けることとし、やむなくタクシーで津駅まで向かいました。このタクシー代6,500円の臨時支出は痛かったですね。津駅の到着は13時頃、お腹も空いていたのでまずは昼食にしました。お腹が空いてストレスを感じている状態だと冷静な判断ができませんからね。津駅に着いた頃には伊勢鉄道もJRも終日運休の発表がされていました。

ちなみに、タクシーでの移動中に伊勢鉄道も止まりました。津から名古屋を結ぶ高速バスもないようです。となると、何とか白塚駅まで行って近鉄に乗る他はありません。路線バスを使って白塚を目指しますが、一本で白塚駅まで行くのは1時間後…それまでに状況が悪い方に傾かないとも限りません。10分後に出るバスで白塚駅に少しでも近づき、雨風強い中ではありますがバス停から20分歩いて白塚を目指すこととします。

ところが、予定時刻になってもバスが来る気配がありません。津駅が始発にも関わらず10分遅れでバスが到着。出発直後の運転手のアナウンスによると、市内の渋滞と、一部道路の冠水で迂回ルートを使用するために市内の全ての路線バスが大幅遅延しているようです。考えてみれば当然ですね。バスが発車してすぐ、伊勢中川駅から名古屋駅までの近鉄が運転再開の情報を目にしました。実はバスに乗る5分以上前には運転再開していたので、バス待ちの間にも細かく情報を見ておけばバスに乗らずに済んだのですが。

GoogleMapで最寄りの近鉄の駅を調べると津駅の隣の江戸橋駅が近いようです。すぐに次のバス停で降り、徒歩5分ほどで江戸橋駅に到着。ラッキーなことに急行の停車駅にもなっています。ただ急行が来るのはまだ先の時間のようで、またいつ電車が止まるかもわからない状況なので少しでも名古屋に近づくべく次に来た四日市行きの各駅停車に乗車しました。そして、白子駅でどうやら特急に接続することがわかり、10分ほどホーム上で待って特急に乗車し、名古屋までは徐行運転をすることもなくスムーズに到着できました。

自分が持っていたのは他の列車の伊勢中川〜名古屋の特急券だったので、車内で特急券の新規購入が必要だろうなと思っていたら、不要とのこと。さらに空いている席を使っていいとのことでした。車掌さんに感謝です。

結果的には、伊勢中川でじっとしていれば伊勢中川から名古屋まで特急に乗って来れたわけで、タクシー代の支出もなかったわけですが、伊勢中川にいるうちに近鉄も終日運休になってしまった事態を想像すると、余分な支出ではなかったと思います。

名古屋駅に着いてからの行動

名古屋駅に到着したのが16時すぎのこと、ちょうどそのタイミングで静岡県内での雨量計が基準値を超えたとのことで新幹線が運転見合わせになりました。

その後の私の行動は以下の通りです。ほとんどの一般客よりも次の一手が早い点に注目です。

①静岡県内の天気予報を確認
静岡県内の雨量計が基準値を超えたということは、静岡県内の雨が止まない限り運転再開はないと推測。
②新幹線払戻
静岡県内では雨が降り続く予報から、29日中の運転再開はないと判断。緊急対応で無手数料で払戻可能なため、払戻。
※この新幹線のチケットは午前の近鉄特急内でスマートEXで確保。払戻もスマートEXで行った。
③ホテル予約
普段から使い慣れたホテル予約サイトで駅前の安価なビジネスホテルを押さえた。
④しなの号の指定席購入
駅構内の券売機でしなの号の切符を購入。時刻は17時近くになっており、窓口は混み始めていたが券売機はガラガラ。
この時点ではしなの号の指定席も半分以上空いていたことは覚えておいていただきたい。
⑤夕食やサウナを楽しむ
栄へ移動して夕食や、元々行く予定にしていたサウナへ。新幹線の運休が決まると混むと思い、早めに行動。
⑥ホテルチェックイン
栄からホテルへ移動中に新幹線の運休が決定。先にホテルを確保していたので慌てず落ち着いてチェックイン。ホテルはややバタバタした様子
⑦あずさ号の指定席購入
えきねっとを用いて購入。20時頃でしたが、こちらもまだ座席は半数くらいは空いていました。

自分がその時に改札外で身動きしやすい状態にいた点や、元々30日に帰宅する予定で休日を取っていた幸運もありましたが、早々に新幹線で29日中に帰ることを諦めて、①〜⑤までを新幹線運休決定前にやってしまった点には注目していただきたいです。

新幹線で帰ることを早々に諦められたのは明確な根拠と心情的な要因の2つがありました。
①明確な根拠
静岡県内の雨が止む気配がないこと。
②心情的な要因
先が見えない過酷な環境に身を置くことを避けたかった。(新幹線が動いたところで、大幅なダイヤ乱れがあり、何時に東京に着けるかわからない。東京に着く前に中途半端な途中駅で止まってしまう可能性もある。東京に着けても終電が終わっている時間になっていては結局タクシーに下手すれば数時間並んで帰らなければならない。その場合のタクシー代より安く名古屋にホテルを取れる。深夜に帰宅することによる疲労を避けたい。)

窓口が大混雑していたにも関わらず、券売機が空いていたのは意外でした。ひとまず都区内までの乗車券としなのの特急券はここで確保、あずさの特急券はホテルに入ってからえきねっとで購入しましたが、乗車前日の夜にもかかわらずチケットレス35%オフで買えたのはラッキーでした。

翌30日の帰路

名古屋駅の窓口に早朝から行列ができていたことや、しなの号の自由席券を持った客がコンコースに行列を作り、ホームは入場規制を実施。車内は自由席券を持った乗客が指定席車両まで溢れていたのは前述の通りです。

私は、しなの号もあずさ号も指定席券を持っていたので、ゆったり座って帰宅するのみ…と思っていたものの、うまくいくことばかりではありませんでした。

しなの号は普段混まない列車が通勤電車並みに混んだため、乗降に時間がかかり、塩尻到着が15分程度遅延しました。車内も混雑していたためお手洗いに行くことができそうになく、水分補給を我慢して2時間近い旅路を過ごしました。

塩尻駅では新宿から松本へ向かうあずさ号の到着とタイミングが重なり、ホーム上は大混雑でした。名古屋→塩尻→新宿と移動する人がいるということは、東京から新幹線に乗れず新宿→塩尻→名古屋と移動する客が同様にいるわけです。

元々30分近い乗り換え時間があったので、トイレを済ませた上であずさ号への乗り換え時間は問題なかったのですが、昼食や飲み物などの買い物が全くできなかったのは痛手でした。塩尻を12時すぎに出て新宿に15時前に着く列車だったので車内で食事を済ませたかったです。結果、空腹に耐えきれなかったこともあり、立川駅で途中下車して昼食にしました。交通系ICでなく、途中下車可能な紙の乗車券にしておいたのは正解でしたね。

中央線の特急は若干遅延しましたが、その他の都内のJRには大きなダイヤ乱れはなかったので、立川からは問題なく帰れました。

対応のポイント

情報を集める

行動を起こすには根拠となる情報が必要です。今回のケースでは鉄道会社の公式HPやアプリでのリリース、天気予報が役に立ちました。SNSは見ない方がいいでしょう。あえてデマを流す方は少数でしょうが、根拠に乏しい不確実な情報が多く、本当に必要な情報を選び取るのに時間がかかってしまいます。

ポイントは、「正確な」情報を「早く」入手することです。もはやスマホは不可欠ですね。

推測をする

これに関しては経験値が必要なので、簡単ではないかもしれません。

今回の例で言えば、
・静岡県内の雨で新幹線が止まるということは、静岡県内の雨が止まない限り運転再開はないだろう
→当日中に新幹線で帰る選択肢を排除
・大雨に高波ということは海の近くを通っている高速道路もやがて通行止めになる可能性が高い。
→夜行バスの選択肢を排除
・多くの人は運転見合わせになってから次の一手を打つだろう
→運転見合わせになる前にホテルや翌日の交通手段を確保

自分の知識、経験から次に起こりうる事態を想像することが次の一手を他の人よりも早く打つために不可欠になります。

先手を打つ

台風や人身事故などで身動きが取れなくなりそうな時、混乱はしても難民にならないためには先手を打つことが不可欠です。ホテルが満室になって宿泊を断られてしまった人やしなの号の指定席が取れず、自由席券で名古屋駅構内で並び、やっと乗れた列車でも混雑の中2時間程度立って乗車となってしまった人などは、事情も様々あるでしょうが一手が遅れてしまった結果といえるでしょう。

私の宿泊したホテルは、私が予約した18時前の時点では予約はガラガラでしたが、実際にチェックインした19時すぎには満室になったようでした。私がチェックイン手続きをする隣では予約なしで突撃した方が満室出歩ことを理由に宿泊を断られてしまっていたのです。

しなの号の指定席は私が指定席を手配した17時過ぎの時点ではまだ半数の席が空いていたのです。あずさ号も、21時くらいの時点で窓側席はほぼ埋まっていましたが、まだえきねっとのチケットレスで35%オフで予約できました。しかし、実際に塩尻駅から乗車してみると満席でデッキは座席未指定券での乗客でびっしり埋まっていたのです。

(理想)窓口に並ばない

鉄道の切符に関する手続きには、まだ窓口でなければできないものが少なくありません。イレギュラーな払戻手続きはその代表例ですよね。ただし、窓口に並ばずに切符の購入や払戻などの手続きをすべきです。窓口に並んでいる間に自分が乗りたい列車の座席が埋まってしまうこともあるでしょう。

おすすめは「スマートEX」や「えきねっと」「e5489」といったインターネットを使って特急券を買うことです。ネットで買った特急券ならば払戻などのたいていの手続きはネットでできるからです。一部の切符は券売機で受け取らなければならないケースもあり、会社などで現金での切符購入をしなければならない場合には対応できないケースもあります。ネットはクレカ決済が基本ですからね。ちなみに、領収書が必要な場合でも、これらの予約サイトから印刷ができます。オフィスに戻って落ち着いてから領収書の印刷ができるのは安心ですね。

どうしてもネットが使えなければ券売機を使いましょう。最近はクレカ専用の券売機も増えていますが、基本的には現金対応の券売機が必ずあります。券売機で領収書も出せます。

払戻が必要な場合は慌てずに後日手続きしましょう。特急列車の運休や2時間以上の遅延または鉄道会社が設けた特例による払戻手続きは1年以内ならいつでもできます。

1項目前で解説したように先手を打つためには窓口に並ばないようにすることがとても重要です。まさにネットを使いこなした人が勝つといえるでしょう。

最悪を避ける

最後に、交通機関の乱れに巻き込まれた時に大切な心掛けをご紹介します。

あなたは、今回のケースで名古屋駅到着後に考えられる最悪のシナリオはなんだと思いますか?

私は、新幹線が止まって高速バスも満席になったために名古屋から身動きが取れなくなり、名古屋で一晩過ごさなければならないにも関わらず宿がなく翌日の交通手段が確保できていない状況が生まれることだと思います。翌日の帰る手段がないまま不安な一夜を街のどこかで過ごし、翌朝ヘトヘトの状態でなんとか手にした自由席特急券で立って帰る…こんな状況想像したくもありません。

私のケースでは、16時すぎに新幹線を諦めた時にはまだ新幹線の運転再開の可能性がありました。しかし、それを諦めたことによってホテルや翌日の交通手段を簡単に確保しました。そして快適に帰宅できたのです。運転再開の可能性がある段階でその日の新幹線を捨てる選択は、100点にはならないという覚悟はしていました。ですが、私は0点を取りたくないという気持ちの方が大きかったのです。「運休が決まるまで待って混乱に巻き込まれた挙句ホテル難民になるくらいなら、先に安いホテルと翌日の帰りの快適な交通手段を確保してしまおう」という最悪を避ける思考が結果的に正解でした。

諦めも肝心。動けなさそうな時は無理に動かないことです。自分の体のエネルギーには限りがあります。エネルギーが尽きてくると判断力を失います。余計な疲労を溜めないように、理想ではないけれど、無難で盤石と思える選択をすることが必要です。

まとめ 知識と経験

知識と経験をつけよ

私の運がよかったのは、スマートEXやえきねっとを使い慣れていたこと、旅慣れている経験から、16時すぎの新幹線一部区間運転見合わせの時点で自分のいる名古屋ではなく、静岡県内各地の天気予報を見て雨が止む気配が全くないことから新幹線は運転再開しないと判断でき、それが的中したことでしょう。雨量計が基準値を超えたのだから、雨が止んである程度時間が経たないと運転再開できないはずという判断ができた自分に対しては、これまでしっかりと旅の経験を積んできた自分を褒めたくなりました。

プライベートでの旅行中だったことも行動を早くできた要因だったでしょう。仕事での出張中だったら、延泊や代替交通機関の手配可否を上司に確認しなければならなかったはずですからね。実際に、上司と思われる人と電話連絡を取っているサラリーマンが多数いました。

ダイヤ乱れて2時間以上遅れ、いつ自宅に帰れるのかわからない新幹線を待つ辛抱強さと根性がなかったのもよかったかもしれません。東京駅に着いた時点で終電が終わり、結局東京駅で途方に暮れる事態も予想できましたからね。

鉄道の知識も役に立ったと思います。ネットで調べるまでもなく、新幹線がダメなら特急で塩尻経由で帰ろうと判断できたのは、その知識があったからです。窓口に並んで、帰るルートを駅員さんに教えてもらっているようでは、手遅れになりますよね。

ポジティブ思考も大事

16時すぎ、新幹線の運転再開見込みがなく、今日帰るのは不可能と判断した時点では、直前に伊勢中川で足止めをくらったせいもありましたが、「自分が身動きを取れなくなった場所が名古屋でよかった」とむしろポジティブな捉え方をしました。美味しいグルメはたくさんあるし、ホテルもたくさんあるし、翌日に帰る交通手段も複数選択肢がある大都会でしたからね。

飲食店が少ない、ホテルも1,2軒、鉄道が1路線しかない、高速バスもないという場所だったら…と考えると怖くなる気持ちの方が強かったです。

「最悪〜」なんて言っている人もいましたが、私にとっては「そんな考え方もあったか!」という感覚です。

混乱してしまいそうな状況に陥った時に冷静な判断力を働かせるためには、ポジティブ思考は一つの大きなポイントになるかもしれませんね。