温泉に一人旅!
これが最高の休日であり最高のリラックスタイムである。
この記事はそんな方にピッタリです。
「誰かに気を遣うことなくゆっくりと温泉を楽しみたい」という願望を持つ方は少なくないはずです。
しかしながら、一人温泉旅行に出ようと思うと不便なことがいくつかあります。
・そもそも1名宿泊不可の旅館もある
・レンタカーや交通費も割高
などなど…
といったところでしょうか。
そこで、この記事では、公共交通だけで気軽に行ける伊香保温泉の中で、
おひとりさま歓迎どころかおひとりさま用に洋室のセミダブルルームを備える希少な温泉旅館である、「伊香保温泉 美松館」をご紹介します。
実際に私が1人で宿泊した時の経験やエピソードを記しておりますので、かなり参考になるはずです。
実際に宿泊してみて、「こんなに一人旅に適した温泉旅館があるとは知らなかった!」と思ったので、ぜひ最後までお読みいただき、ご検討いただきたいと思います。
伊香保温泉の概要
「伊香保温泉ってどこ?どんな温泉?」
という方のために、伊香保温泉の歴史や泉質、街並みや楽しみ方についてご紹介します。
伊香保温泉とは?
伊香保温泉といえば都心から近く、気軽に行けるアクセスの良さとこの石段街に立ち並ぶお土産店や飲食店、射的のお店など、いかにも温泉街という風情から、シニア世代だけでなく学生などの若者にも大人気の温泉です。
私が訪れた時には韓国の方も多くいらしてました。
伊香保温泉の玄関口となるのが渋川駅です。
渋川駅は上野から特急で1時間40分、東京から高崎まで新幹線を利用して在来線に乗り継いでも所要時間はほぼ同じくらいになっています。
渋川駅からはバスで25分程度です。バスは伊香保温泉まで最短で行くものと水沢うどんで有名な水沢を経由する2本があります。水沢経由の場合「水沢うどん街道」のある水沢バス停まで25分、水沢から伊香保温泉まで15分程度かかるので注意が必要です。
ただ、ぜひ名物の水沢うどんも味わってみてほしいなと思います。
伊香保温泉の歴史と泉質
伊香保温泉は古墳時代(600年より前)に湧き出てきたと言われており、実に1,400年以上の歴史があります。
万葉集には伊香保の名前が登場し、南北朝時代の書物には温泉が湧き出ていた旨の記述があり、安土桃山時代には現在の場所に温泉街があったそうなのです。
以来400年以上の間、伊香保温泉は現在の場所で温泉街として栄えてきたということになります。
さらには、徳富蘆花の小説「不如帰」の舞台になっている場所としておなじみです。
明治から戦後にかけて渋川から伊香保まで路面電車が走った時期もありました。
1962年には現在も活躍する伊香保ロープウェイが開通しています。
伊香保には「黄金の湯」と「白銀の湯」という2種類の温泉があります。
黄金の湯は湯の中の鉄分が酸化し、独特の茶褐色になることが名前の由来です。刺激の少ない柔らかな湯で、体を芯から温めて血行を促すことから、江戸時代には「子宝の湯」と呼ばれていました。病気やケガの療養にも適していることから、湯治場として昔から人気を集めている温泉です。
白銀の湯は、近年湧出が確認されたものであり、黄金の湯と比べるとかなり新しい温泉です。
無色透明であったためにその名がつけられ、疲労回復や健康増進に良い湯として知られています。
伊香保温泉のシンボルマークである石段は400年ほど前に造られました。
現在の石段は1980年から5年の歳月をかけて改修されたものです。
さらに2010年には、温泉街が365日栄えるようになってほしいという願いを込めて、石段を365段に増設しました。
石段街には射的のお店や足湯、「石段の湯」という昔石段に使われていた石を使用した銭湯、温泉饅頭(湯の花まんじゅう)のお店が立ち並び、散策、食べ歩き、休憩場所としての足湯など、温泉街ならではの楽しみをとことん満喫できる場所です。
実は、伊香保温泉は温泉まんじゅうの発祥の地なのです。
天皇家へ献上されたことがきっかけで世の中に広まった伊香保温泉の湯の花まんじゅうのお店は石段街の各地に点在しています。
お店によって価格や味が微妙に異なっているので、食べ比べも面白いかもしれませんね。
石段街を上り、伊香保神社を経て少し足を伸ばせば風情ある河鹿橋、源泉、飲泉所、伊香保温泉露天風呂なども楽しむことができます。
新緑や紅葉が美しい河鹿橋は、インスタ映えのスポットとしても有名です。
石段街はあまり広くないため、神社や河鹿橋まで観光したとしても2〜3時間で十分にまわりきることができます。
昼過ぎに伊香保に着いて石段街を散策した後でも旅館の中で過ごす時間を十分に確保できますよ。
参考(伊香保温泉観光協会HP):https://www.ikaho-kankou.com/
美松館概要
概要
美松館は温泉街のアクセスの拠点である伊香保温泉バス停と伊香保温泉バスターミナルから徒歩2分、石段街まで徒歩3分の場所にあり、抜群のアクセスになっています。
石段街は季節によっては常に人でごった返しているのですが、徒歩3分離れた美松館の周辺はとても静かで、安心して過ごすことができます。
デメリットをあげるとするならば、コンビニまで徒歩5分、坂を上り下りする必要があることくらいでしょうか。
6階建てですが全21室を家族で経営するこじんまりとした旅館です。
大きな旅館のようにバタバタを人が動き回っている様子は全くなく、アットホームで温かい、ゆったりのんびりとした空気が流れています。
スパやプール、大宴会場のような大きな施設がない分、少人数で静かにゆっくり過ごせるのが特徴であり、魅力の旅館です。
お客様の人数が少ないからこそ、1組1組に丁寧に心のこもったおもてなしをしてくれています。
1Fが無料の駐車場、2Fがフロントとロビーです。
出入りは写真左下の茶色い階段から自動ドアを利用します。
館内施設・サービス
2Fにはフロントとロビー、自動販売機に売店、大浴場があり、3Fに中宴会場、4〜6Fに客室があり、6Fには展望露天風呂がある都合上、客室はわずかです。
売店では群馬の主要なお土産が並びます。
ここまではどこの旅館にもある施設、設備ですが、美松館ならではの個性的なサービスもありました。
例えば、このかごです。
大浴場での入浴時に利用するための同じようなかごを客室に備えている旅館はありますが、美松館はこれをロビーに置き、石段街散策の際に使うことができるのです。
これがあるおかげで石段街でたくさんお土産を買ってくることもできますね。
チェックアウトまでにご自身で必ずこの場所に戻しておきましょう。
伊香保温泉は標高800m近くのそこそこ高地にあるため、季節によっては朝晩は強く冷え込みます。
その冷え込み対策としてロビーにはひざ掛けが置かれています。
食事会場にもイスにひざ掛けが置いてありました。
大きく派手な設備はないけれど、旅館の方々の心遣いを感じられる施設、設備があるのが美松館なのです。
仲居さんの気遣いが素晴らしい宿
私が温泉や食事よりも滞在中に最も感動したのは、仲居さんのお気遣いです。
まずチェックイン時に私の体格(身長が185cmあります)を見て、裏から大きめスリッパを出してきてくれました。
いつも29cmの靴を履いている私には、お部屋にあるスリッパでは小さすぎるのです。
普段はかかとが半分あるいはまるまるスリッパからはみ出た状態で履いているため、衛生面の問題に加え、足にかかる負担がとても大きく、リラックスしに温泉に来ているのにスリッパで疲れてしまうという時もあるのです。
全てのお客様に満足してもらうために様々な準備をし、決して手を抜かない旅館なのだなと感じました。
チェックインしてから石段街へ出かける際にも、石段街のマップを渡してくれて見どころや注意点などを教えてくれました。
名物のまんじゅうを買える店、営業時間が短くて早く閉まってしまうお店、新しくオープンしたお店やおすすめの観光ルートなどを教えてくれたのですが、お節介の度がすぎてしつこいということもなく、こちらの反応を見ながら押し付けにならないように配慮してくれていたように感じます。
こちらからの質問にも的確にお答えいただきました。
伊香保温泉全体に関しての知識が豊富なだけでなく、それを常にアップデートしていて、必要以上の情報を与えすぎない配慮までしてくれる完璧すぎる観光案内です。
食事や風呂で廊下を歩いたていた際にも、明るい挨拶はもちろんのこと、気さくに話しかけてくださいました。
美松館の滞在を、より明るい気分で楽しく過ごすことができたのは、仲居さんたちのハイレベルすぎるおもてなしがあったからこそだと思います。
実際、楽天トラベルの口コミには、「清掃が行き届いている」「スタッフのサービスや気配りが素晴らしい」といったように仲居さんに関する高い評価が溢れかえっています。
私が滞在したのは2月上旬の閑散期で、お客様が少ない時期だからこそ、1組1組にじっくりおもてなしができているのだろうなと感じていたのですが、帰ってきた後で口コミを見てみると、1年中変わらないサービスを提供していることがわかりとても嬉しくなりました。
ゆったり広めの和室が中心
部屋の種類
10〜14畳タイプの和室(こだまの間)、ツインベッドタイプの和室(銀嶺の間)、テラス付きの和洋室(やまびこの間)など様々です。
こだまの間の場合には、3名までであれば希望に応じてお部屋食になります。
和室やツイン和室は1人でも予約可能です。
「温泉旅館に来たら和室!」
「和室は好きだけど寝るのはベッド」
このいずれにも対応してくれるのはとてもありがたいですね。
洋室セミダブル「浮舟」
セミダブルベッド1台が置かれたワンルームの洋室です。
リノベーションが完了し、2022年12月28日から利用開始となった新しいお部屋のため、女性でも安心の清潔感があります。
出張や一人旅におすすめで、食事は3Fの会場で提供されます。
お部屋に入ると木を基調とした温かみのあるデザインで、柔らかい照明の光に包まれてほっとする感覚を覚えます。
洋室とはいってもホテルとは違った温泉旅館ならではの雰囲気や温もりが感じられるお部屋です。
ベッドは枕元にコンセントがあり、スマホを充電することが可能です。
照明のスイッチも枕元にあるため、夜の消灯と朝の点灯が楽々できました。
コンパクトではありますが1人で使うには十分な広さの洗面台です。
ドライヤーも備え付けられています。
鏡が大きいのは女性にとってはもちろん、身長が高い男性にとってもありがたいポイントです。
街歩きや仕事に疲れたら「ふぅ〜」と一休みできるソファもありますよ。
ここでゆっくり読書もいいですね。
テレビもとても観やすい角度にあります。
仕事ができるようなデスクもあります。
デスクライトにコンセントも備えているので、まるでビジネスホテルのデスクのようです。
温泉旅館なのにこんな設備を整えてくれるなんて素晴らしいですよね。
Wi-Fiはもちろん高速でPC作業も快適です。
仕事やデスクワークするなら洋室、温泉旅館らしさを味わうなら和室、贅沢するならツイン和室と、目的に応じてお部屋を選び分けてくださいね。
お風呂
美松館のお湯は、伊香保温泉の2種類の温泉のうち、「白銀の湯」です。
別料金になりますが、岩盤浴もあります。1名での利用もできますよ。
事前予約ができますが、チェックイン時にフロントで予約も可能です。
内風呂
2Fロビーの奥にあります。
入口に貴重品用のロッカーがある他には特別なところはないかな〜という感じでした。
脱衣所は十分な広さがあって臭いもなく清潔感も問題なしでした。
温泉好きなら窓などから入ってくるスキマ風で寒い思いをしながら体を洗った経験が1度はあるでしょう。
ここの内風呂はそんなことはありません。
超高級温泉旅館のような風情やゴージャス感はないけれど、浴室内は暖かくとても快適でしたよ。
床は畳敷きなので温度変化に強く、湿っていても滑りにくく安全です。
「すごく広〜い」というわけでも、特別風情があるわけでもないけれど、ゆったり落ち着いて快適に入浴ができるのが美松館の内風呂の特徴かなと思いました。
お風呂を出てからもしばらく体がポカポカと暖かく、スッキリできました。
展望露天風呂「浮雲」
最上階の6階にある展望露天風呂が「浮雲」です。
夜は温泉街の夜景と星空、朝は山々の景色を眺めながら、ふと気がつくとボーッと自然にリラックスできていることでしょう。
お湯に浸かっていると自然に全身の力が抜け、何も考えない無の状態になり、ふわふわと中に浮いている雲になったような感覚を味わいました。
お湯から上がってから、「空に浮いている雲になったような感覚を味わえるから浮雲という名前なのかな?」という疑問がわいたものの、確認するのを忘れてチェックアウトしてしまいました。
そのくらい、自然とリラックスできる素敵なお風呂なので、伊香保温泉に来たら絶対に入っていただきたいのです。
シャワーはなく、浴槽のみが佇むお風呂です。
6Fでエレベーターを降り、奥に進んでいくと、ちょっとした休憩場所があり、その奥のドアを抜けていきます。
入浴できるのは一度に2〜3名程度なので脱衣所の広さもそれなりです。
タイミングが悪いと待ち時間ができてしまう可能性はあります。
浴槽の端に頭を乗せ、仰向けになるようにお湯に浸かり、星空を眺めていると、どんどんと体の力が抜けていき、空にふわふわと浮かんでいるような感覚になります。
これが先ほども述べた「空に浮いている雲になったような感覚」です。
私が宿泊したのは2月という冬の時期でしたので、星空がとてもキレイに見えました。
夏なら虫の音を聞くこともできるのかなと思います。
山の上という、空気がキレイでより星に近いところで夜風にあたりながら入る温泉は最高ですね。
朝になるとお風呂に入りながら遠くに広がる群馬の山々を見渡すことができます。
朝にこんなふうにゆったりしたスローな時間を過ごすことで、最高にスッキリできますよ。
美松館のお風呂は豪華さはないけれど自然に落ち着く、素敵な温泉でした。
日頃の悩みやストレスなどあらゆるものから解放されたい方にはぜひおすすめです。
お食事
和室に宿泊の場合には部屋食が基本となり、ベッドのあるお部屋に関しては会場食となります。
メニューは夕食朝食ともに群馬の食を取り入れた心温まる和会席です。
夕食
夕食にはメインを選択できる複数のプランがあります。
ベースのプランは上州もち豚のしゃぶしゃぶですが、これを上州牛とのミックス、上州牛のみに変更できるプランもあります。
しゃぶしゃぶの他にもすき焼きやステーキに変更もできるので、好みと予算に合わせてプランを組むことができるのが魅力です。
私は差額の1,100円を支払い「上州牛&もち豚しゃぶしゃぶ」のプランにしました。
お献立は以下のようになっています。
地元で採れた野菜に加えこんにゃくなどもあり、群馬の美味しさが詰まった夕食でした。
薄切りにしたお肉はとても柔らかくて食べやすく、本当に美味しかったです。
銀の鍋がしゃぶしゃぶ、木の蓋が載っている鍋がうどんです。
鰈のホイル焼きとデザートは後から出てきます。
季節のプリンはイチゴでした。
栄養もボリュームも満点の夕食でした。
私はお酒を飲まないのですが、群馬の地酒なども取り揃えているみたいです。
朝食
朝食も色とりどりのお料理が並んでとても華やかでした。
蒸した野菜があるのは珍しいですよね。
夜も朝も、群馬の名物をしっかりいただきました。
アクセス
伊香保温泉は渋川駅から路線バスで25分ほど、都心部から渋川も1時間40分程度なので、伊香保温泉はとてもアクセスが良く、気軽に行ける温泉街といえます。
車でも便利なのですが、ICから山道を上がってくることになるうえ、温泉街周辺は細い路地が多く見通しの悪い交差点も多いので、やはり電車とバスを乗り継いで来るのがおすすめですよ。
渋川駅からは4番のバス乗り場から路線バスに乗りましょう。
「伊香保温泉行き」というバスがあります。
美松館までは「伊香保温泉バスターミナル」で下車して徒歩2分です。
このバスは路線によって温泉街をぐるっと周遊するものもあるので、目的に応じて下車するバス停はあらかじめ調べておくといいでしょう。
ちなみに、「渋川駅前プラザ」では1つあたり500円で当日宿泊の旅館へ大きな荷物を配送してくれるサービスを行っています。
受付は午後2時までとなっているので、昼過ぎくらいまでに渋川に来て、水沢うどんを食べる、水沢観音などの観光を予定している方はぜひ利用してみてください。
渋川駅前プラザは渋川駅を出てバス乗り場とは反対に進んで目の前、改札からも徒歩0分です。
まとめ
美松館は絶景露天風呂あり、素晴らしいサービスあり、群馬の名物あり、そして渋川からのアクセスと石段街散策に最適な立地と何拍子も揃ったお宿です。
リニューアルしたての1人向けセミダブルルームを備える数少ない旅館なので、1人旅にも最適です。
高速Wi-Fiもデスクもあり、PC作業も快適です。
さて、次のご旅行は伊香保温泉美松館にぜひ行ってみてくださいね。
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